ハンドベインとは about

POINT

  1. ポイント01ハンドベインとは、手の甲や腕の血管が浮き出て、視覚的に目立つ状態のことです。
  2. ポイント02ハンドベインの原因は、「老化」「生活環境」「遺伝」です。

ハンドベインとは

定義・由来

手の甲の血管、腕の血管が数㎜~5㎜程度に拡張して、肉眼的に浮き出てくる状態のことを言います。これら手の甲や前腕の血管拡張は、弁不全など病的な状態が背景にあるわけではなく、ハンドべインという言葉もそもそも医学用語ではありません。一方、脚に膨らむ瘤(こぶ)状の病的な血管(静脈)のことを下肢静脈瘤と言いますが、下肢静脈瘤の中で数㎜径の比較的小さなものに「網目、クモの巣静脈瘤」というものがあります。これらの静脈瘤は血行上で問題を来すことは無く、病的な症状を呈することも殆どありません。治療目的は美容上の改善であることが主であり、病的な静脈瘤と区別するために、Leg Vein(レッグべイン)と呼ばれます。これに照らして、同様に美容治療の対象となる手の甲や腕の血管拡張のことをHand Vein(ハンドべイン)と呼ぶようになりました。

病的な場合も時にある

中には、手・腕の血管の逆流防止弁が壊れて病的な逆流を来し静脈が拡張したものや、先天的に動脈と静脈の間に連絡路(シャント)ができて静脈が拡張しているものもあります。そのような場合は手を下げていると、腕や手がむくみ、痛みを感じることが多く、起きている時は常に腕や手を高く上げていなければ辛いという症状を呈します。

治療動機

殆どのハンドべインは病的なものではなく、生理的な静脈拡張によるもので、血行面で異常はありません。しかし、肉眼的に、もしくは精神的に大きなストレスを感じる方が多く、特に成人女性の加齢上の切実な悩みと言えます。

治療を希望する方の具体例

  • ピアニスト、ファッションモデルなど人前で手を出す職業の方
  • 女優、アナウンサーなどテレビなどメディア露出の多い方
  • 家族や知人に手のボコボコの血管を指摘されることが多いという方
  • 子供やお孫さんに気持ち悪がられることが多いという方

など

ハンドベインの原因

原因①『加齢による皮膚の老化(菲薄化)』

年齢とともに肌の弾力の元である、真皮層のコラーゲンやエラスチンの量が減少し、肌細胞を作り出す力が衰え、表皮が薄くなっていきます。 このように、年齢を重ねるとだんだんと肌が菲薄化(薄く)なって肌表面に血管が太く浮き出ているように見えてきます。

そして、特に女性の場合は女性ホルモンの影響が重なります。 女性ホルモンは真皮のコラーゲンの生成を促進し、紫外線の影響を受けにくくするといわれています。しかし、20~30代をピークにして、加齢を重ねると女性ホルモンの分泌はぐっと減って、コラーゲンの分泌量の低下や新陳代謝の低下を招きます。

そして皮脂腺の活動が鈍くなり、皮脂(肌を柔らかく保つ天然の軟化剤)を生成する速度も遅くなります。その結果、肌がたるみ、若くふっくらとした柔らかさが失われ、徐々に血管が太く浮き出ているように見えてきます。 年齢を重ねると肌が薄くなる速度が速くなる傾向があります。脂肪層が薄くなっていくと、肌はますます傷つきやすくなって、さらに薄くなります。

原因②『紫外線による皮膚の老化』

紫外線を長年浴び続けることで、シミ、シワ、たるみを増やし、肌の新陳代謝を遅らせます。ごれを「光老化」といい、肌に最も悪い影響を及ぼす原因となります。 顔と比較して腿の内側やお尻などほとんど紫外線に当らない部分は若い人の肌も、歳をとった人の肌もそう変わらない状態です。これにより紫外線がどんなに肌にダメージを与えているかがわかります。 手や腕は最も紫外線を受ける部位。光老化により皮膚の老化を加速させてしまい、結果として表皮が薄くなり血管が浮き出る原因となります。

原因③『炎症による皮膚の老化』

手の乾燥、カブレなどによる炎症は皮膚の老化を早めてしまいます。炎症をよく起こしてしまう部分の肌は他の部分よりもキメが粗く、ハリがなくなるスピードが速くなります。 ほんの僅かな炎症であっても長い期間その状態が続くと皮膚の老化に大きな差が出てくるので注意が必要です。 炎症による皮膚老化も、手や腕に血管が浮き出る原因となります。食べ物やスキンケアに高い意識を持って、健康な肌を維持する心がけが大切です。

原因④『血管の老化』

静脈の血管は一般的に加齢や生活習慣によりその弾力性が低下していきます。年をかさねるにつれて「血管」の壁が厚くなり、厚みが増すことで弾力性がなくなるため、太く皮膚表面に浮き出やすくなります。これもハンドべインの原因となります。 また、徐々に血管の「しなやかさ」が損なわれることにより、静脈が硬くなる原因にもなります。 見た目ももちろん大切ですが、高コレステロールや糖分の多い食事、過度な飲酒や喫煙、運動不足などの生活習慣は、健康にかかわる「血管」を老化させる原因となります。

原因⑤『遺伝によるもの』

生まれつき肌が弱い人強い人、衰えにくい人と衰えやすい人がいます。これはどうしようもない部分です。親族に自分と同じように血管が太く浮き出ている人がいれば、それは遺伝による原因の可能性が高いといえます。人の顔や体つきが違うように、肌の状態も人それぞれで違います。

原因⑥ハンドベインの治療法

治療法として

  1. 体外照射タイプレーザー(経皮的レーザー)
  2. 硬化療法(プレーン、フォーム)
  3. 血管内レーザー治療
  4. ヒアルロン酸注入療法

などが挙げられます。

体外照射タイプレーザー(経皮的レーザー)

波長1064nmのロングパルスYAGレーザーや1320nmのクールタッチレーザーを用いて、治療対象となる血管にレーザーを外側から直接照射します。皮膚を介して血管壁に対してレーザーを送達する方法ですが、これは網目・クモの巣静脈瘤など細かいタイプの下肢静脈瘤や顔の毛細血管拡張などには有効ですが、血流が豊富な手や腕の拡張した静脈の治療には効果がほとんどありません(あったとしても極めて軽度の変化にとどまります)。

硬化療法(プレーン、フォーム)

米国で一時盛んに実施されましたが、大きな拡張には効果が乏しいことがやはり指摘されます。また、中には血管が固くしこった状態でしばらく残ってしまうことがあり美観に優れない場合があります。さらに血行を完全に遮断してしまう治療設計なので広範囲の治療にそもそも向きません。

血管内レーザー治療

治療として最も確実かつ効果的な治療です。対象となる血管に細い針を用いてレーザーファイバーを挿入して血管内膜にレーザーを照射して血管を収縮させ目立たなくさせます。完全に血管を閉鎖せずに縮退させることを目指した治療なので、血行を完全に遮断させる硬化療法に比べて健康上のリスクが低いと言えます。ただし、蛇行の激しい血管へのファイバーの挿入やレーザーの照射が容易ではない場合があり、施術者の経験と技術が大きく治療成果に影響します。

レーザー治療について

ヒアルロン酸注入療法

拡張した静脈の周囲の皮膚や皮下にヒアルロン酸を注入して盛り上げ血管の浮き上がりを目立たなくさせる方法です。これは血管を直接処理するわけではないので変化に乏しい場合があり、逆にヒアルロン酸を入れすぎると手がはれぼったくなってしまうなど、自然にかつきれいに仕上げるのが難しい方法です。ただし、皮膚が乾燥している方などは、少量のヒアルロン酸を手の甲全体に広げるように注入すると肌の潤いが改善する可能性があります。